問いが身体に先に届く
ノートの一行を目で追うだけで喉がきゅっと塞がり、息が止まる。読むほどに、胸の奥の固さが自分のものとして輪郭を持つ。ページを閉じても、余韻が残ります。
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通知音が鳴るたび、奥歯に力が入っていませんか。
反射的に「大丈夫」と言って、
また仕事を抱える
帰りの電車、
窓に映る自分の顔を見ないようにする
弱音の置き場所が、
どこにもない
川崎から都心へ通う駆は、炎上しそうな案件と、Slackの未読34件に追われながら、反射で「大丈夫」を繰り返してきた。ときどき、Slackが鳴って未読がひとつ増えるだけで、肩が固くなる。研修で出会った佐良に誘われ、喫茶店で渡される一冊のノート。
開いた瞬間、喉が塞がり、吸い込んだ空気が胸で止まる。
軽いはずの紙が、掌にだけ妙な重さを残す。夜の多摩川、駅前コンビニの白い光、散らばるレシート。
弱音を"言葉にする手前で手に取る"感覚が、少しずつ日々の隙間に灯っていく。問いはまだ、答えになりきらないまま。
ノートの一行を目で追うだけで喉がきゅっと塞がり、息が止まる。読むほどに、胸の奥の固さが自分のものとして輪郭を持つ。ページを閉じても、余韻が残ります。
皆実は「なんとかなる」を急がず、怖さを置ける場所をつくる。佐良は言い切らずに問いを渡し、沈黙のまま隣にいる。ふたりの距離感が、駆の呼吸をほどいていきます。
責める前に、弱音と本音をテーブルに出す。「誰も潰れない」を条件に、いま必要なタスクだけを探し直す。会議の空気が、少し違う質感へ変わっていきます。
「答えが『はい』でも『いいえ』でも、
『わからない』でもいいです」
「ただ、問いだけは……
一度ちゃんと自分の耳で聞いてみてほしくて」
「このプロジェクトを、
『誰か一人がぶっ倒れて、
その上に立ってる仕事』
にしたくありません」
「『誰も潰れない』という条件のままで、
どこまで行けるかを、
一緒に探させてください」
無理に変わらなくていい。
ただ、自分の呼吸の音を聞く時間を。
眠れない夜、枕元に置くだけで「大丈夫」の荷物を少し降ろせる。
そんな一冊になりますように。
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